pa-gumi’s blog

税理士事務所勤務12年。かゆいところに手を届けたい。

【H30年】年末調整のココが変わった!「給与所得者の配偶者控除等申告書」の書き方

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2018年1月より、配偶者控除及び配偶者特別控除の取り扱いが変更されました。

分かりやすく言うと・・・

妻がパートで稼いでも、夫の扶養に入ることができる金額が

103万円から150万円に上がりました!

でもその代わりに、ご主人の収入が多い世帯は奥様がいくら150万円以下の収入で

も配偶者の控除を受けれなくなったんです!

この変更に伴って、年末調整の時に記入する申告書も様式が変更になりました。

みなさん年末になると会社から年末調整に必要な書類を渡されませんか?



今までは・・・①「給与所得者の扶養控除等申告書」        

         ②「給与所得者の保険料控除申告書 兼 

           給与所得者の配偶者特別控除申告書」 


今年から・・・①「給与所得者の扶養控除等申告書」

         ②「給与所得者の保険料控除申告書」
  
         ③「給与所得者の配偶者控除等申告書」


今年から用紙は3枚になります!めちゃくちゃ簡単に言うと


①扶養する家族を書く(子供・親など)

②保険料の控除を書く(生命保険料など)

③配偶者の控除を書く(妻)


といった感じです。

今年から新しく増えた③「給与所得者の配偶者控除等申告書」の書き方について

説明しようと思います!



ーーもくじーー

   
①「給与所得者の配偶者控除等申告書」の様式

②例題  ご主人:41歳 会社員(500万の収入)
     奥 様:41歳 パート(150万の収入)

③例題  ご主人:68歳 会社役員(1200万の収入)
     奥 様:71歳 専業主婦(220万の年金)

④まとめ



①「給与所得者の配偶者控除等申告書」の様式

何度も言いますが「給与所得者の配偶者控除等申告書」はH30年度からの新様式

です。ご主人がお勤めされている会社へ、年末調整が行われるまでに

「平成30年分 給与所得者の配偶者控除等申告書」

を提出し、かつ要件を満たせば配偶者の控除を受けることができます。

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国税庁HPより







②例題  ご主人:41歳 会社員(500万の収入)
     奥 様:41歳 パート(150万の収入)



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この場合は、下記のようにして記入ご主人の会社に提出します。

結論から言うと奥様は「配偶者特別控除」として38万円の控除を受ける

ことができます。


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※ご主人:  奥様:  控除額の判定:


(1)まずは、用紙中央にある「合計所得金額の見積書の計算表」から記入

していきます。

この欄での注意点は、給与収入給与所得とでは金額が違う

という点です。給与収入から給与所得控除を差引いた後の金額を給与所得

といいます。この欄は給与所得を算出する欄になります。

計算方法は裏面に掲載されていますので、それに当てはめて計算すれば

すぐに金額はでますよ。


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ご主人の給与所得の計算
①:5,000,000÷4=1,250,000 ②:1,250,000×3.2-540,000=3,460,000給与所得


奥様の給与所得の計算
①:1,500,000ー650,000=850,000給与所得


計算が出来たら記入します。

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(2)
次に、算出した給与所得の金額を上の欄の

「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」と「配偶者」の欄へ記入します。


ご主人 :3,460,000円を「*1」の欄に転記します。

      そして、900万円以下(A)のところにチェック✓を入れます。

      最後に「区分Ⅰ」欄に、と記入します。

奥 様 :850,000円を「*2」の欄に転記します。

      そして、38万円超85万以下③のところへチェック✓を入れます。

      最後に「区分Ⅱ」欄に、と記入します。


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(3)最後に「控除額の計算」を埋めていきます。

「区分Ⅰ」のと「区分Ⅱ」のが交わる金額を探します。

例題の控除額は、380,000円になります。

この控除が配偶者控除なのか「配偶者特別控除」なのかは、

表の下の「摘要」を見て確認します。今回は「配偶者特別控除」になります。

答えが出たら、 の横の表に金額を記入すれば出来上がりです。


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③例題  ご主人:68歳 会社役員(1200万の収入)
        奥 様:71歳 専業主婦(220万の年金)



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この場合は、下記のようにして記入ご主人の会社に提出します。

結論から言うと奥様は「配偶者特別控除」として9万円の控除を受ける

ことができます。


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(1)先程と同様、まずは用紙中央にある「合計所得金額の見積書の計算表」

から記入していきます。今回は奥様が、給与収入ではなく年金収入です。

年金収入は雑所得にあたります。この場合も計算方法は裏面に掲載されていますの

で、それを見ればすぐにできますよ。


ご主人の給与所得の計算
①:12,000,000ー2,200,000=9,800,000
給与所得


奥様の雑所得の計算
①:2,200,000ー1,200,000=1,000,000雑所得


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(2)
次に、算出した給与所得と雑所得の金額を上の欄の

「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」と「配偶者」に記入します。


ご主人 :9,800,000円を「*1」の欄に転記します。

      そして、950万円超1,000万円以下(C)のところにチェック✓を

      入れます。最後に「区分Ⅰ」欄に、と記入します。

奥 様 :1,000,000円を「*2」の欄に転記します。

      そして、85万円超123万以下③のところへチェック✓を入れます。

      最後に「区分Ⅱ」欄に、と記入します。


※本来ならば、奥様は70歳以上なので「老人控除対象配偶者」に該当するのですが、奥様の所得が380,000円を超えているので今回の例題では「老人控除対象配偶者」にはなりません。


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(3)最後に「控除額の計算」を埋めていきます。

「区分Ⅰ」のと「区分Ⅱ」のが交わる金額を探します。

は控除額が段階になっているので「*2」に記入した、1,000,000円が該当する

欄を見つけてください。

今回の例題の控除額は、「配偶者特別控除」90,000円になりま

す。答えが出たら、 の横の表に金額を記入すれば出来上がりです。



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④まとめ

「平成30年分 給与所得者の配偶者特別控除等申告書」

においては、すべての収入おいて「収入」「所得」の金額の違い。

配偶者控除なのか「配偶者特別控除」なのかの判定。

この2点がポイントだと思います。分からない箇所があれば空欄で会社に

提出しても大丈夫だと思います。経理担当者が代わりに記入してくれるはずです!

分かりにくいところがあったらすみません。誰かのお役に立てれば嬉しいです(^-^)